鍵交換にもいろいろあってどれにすればいいのかわからない
最近、玄関の鍵の調子がおかしいので鍵交換を考えているが、
- どのタイプの鍵への交換がいいのか?
- 鍵穴の交換だけでいいのか?
- どの範囲の部品まで交換するのが良いのか?
- この際、より防犯性を高めるアイテムを取り付けできないか?
いざ鍵を交換しようとすると、色々なメーカーや種類の鍵や防犯の為のパーツががあり判断に困ってしまいます。
そのまま使い続けて壊れてから慌てて修理、緊急交換が必要でよく調べないまま交換することになってしまいます。
自分の家の防犯は、自分で考える意識を持って、鍵交換の際や防犯を考える上で、少しでも調べておくことは大切なことです。
玄関ドアよりも窓からの侵入の方が多い
全国の警察署の統計をみて、共通にいえることは空き巣の侵入口として一番多いのは「窓からの侵入」になっています。
特にベランダの窓や庭 縁側への出入り口となる掃き出し窓が多い一戸建て住宅やアパートなどの集合住宅での割合は高く6割が窓からの侵入になります。
空き巣に対して、効果が大きいのが窓の防犯対策ということになります。
窓からの侵入方法
窓の鍵というと、クレセント錠が思い浮かびますが、クレセント錠は、施錠用具としては防犯性は高くありません。
ロック機能のないクレセント錠ならレバーを半回転させるだけで窓は簡単に開いてしまいます。このため、クレセント錠は施錠用具に分類されない場合もあります。
窓からの侵入は、クレセント錠横のガラスを壊して(ガラス破り)手や工具を入れてクレセント錠を操作することで行います。
ガラス破りの方法には、ドライバーをサッシの隙間に入れて隙間をこじ開けて割る方法(こじ破り)、窓をハンマーで打ち壊す(打ち壊し)、ガラスを熱した後に、急速冷凍することでひびを入れ割れやすくしてから割る(焼き破り)などに手口があります。
古くてゆるくなったクレセント錠の場合は、窓の振動を与えるだけで外れる場合も有りますので気をつけましょう。
窓の防犯対策
一番有効なのは、ガラス自体を対策製品にすることですが、これから新築する以外のご家庭では難しい事です。
これから新築やリフォームをお考えの方にお勧めな製品は、防犯合わせガラスになります。
既存の窓には、ガラス破り対策として防犯フィルムの貼り付け、防犯クレセントへの交換、窓用補助錠の追加がお勧めです。
次に多い侵入方法としては玄関からの施錠開けになります
玄関からの不正侵入手段は、鍵穴(シリンダー)の防犯機能に合わせて進歩しており多くの手段があります。
鍵交換をするにあたっては、知られている不正開錠手段対策済で、価格と必要の兼ね合いの中で、最適なシリンダーを選ぶことをお勧め致します。
不正開錠名称 | 不正開錠手順 | 参考 |
ピッキング | ピックとテンションという2つのツールを使用して鍵穴の開錠方向へ力を与えつつシリンダー内部のピンを開錠位置にセットする方法です。 | 耐ピッキング性能の低いピンシリンダーの場合、短時間で開錠されてしまいます。(すでに製造中止となっているMIWAディスクシリンダーなど) |
バンピング | シリンダー対応に作成されたバンプキーを使用してピンシリンダーを開錠する方法です。バンプキーを鍵穴に挿入し衝撃(バンプ)を与えピンを跳ね上げる | 防犯性が高いディンプルキーでも簡単に開錠できるといわれているが、実際にはシリンダー対応にバンピングキーの作成が必要なため被害は拡大しなかった。 |
レーキング | ピッキングと同じ方法ですが、レークピックと呼ばれる先端が凹凸のあるツールで鍵穴をひっかくように操作して一気にピンを開錠位置に揃えようとする手法。 | ピッキングより技術が必要ではないので、使用頻度は高い。 |
カム送り | シリンダーカバー(カラー)を浮かした隙間からツールを挿入し、シリンダーをバイパスして直接デッドボルトを動かすカムを操作する方法。 | シリンダーの防犯性能に無関係に開錠される。 |
鍵穴壊し | ドリリングとも呼ばれ鍵穴(シリンダー)をドリルで壊して開錠する方法。 | 破錠のこと。 |
サムターン回し | ドアスコープや新聞受け、ドリルで開けた穴からツールを挿入し、 ドア内側のサムターンを直接操作することで開錠する方法。 | 通常のサムターンだと短時間で開錠される。スコープ開錠とも呼ばれる |
もぎ取り | ドアノブの中央にシリンダーを内蔵しているタイプ(インテグラル錠)などに対し、大型プライヤーなどでドアノブごともぎ取り開錠する方法。 | |
こじ破り | 鍵穴横のドアとドア枠の隙間にバールを挿入し、ドアをめくりあげデッドボルトをストライクから外して開錠する方法。ワンドアツーロックでも一気に開錠される場合がある。 |
CP認定製品を使用する
認定された製品は、防犯性能の高い建物部品目録に登録されています。
CP認定された製品には、CPマークが表示されています。
CP認定錠の場合、認定試験項目は、下記の通りとなります。
① 耐ピッキング性能試験(侵入手口:ピッキング)
それぞれかぎ違いである3個の試験体について、3名の特殊技能試験員が、1個
について3回ずつピッキングを行い、解錠するまでの時間を計測し、最も短いもの
(最も短いものと次に短いものとの差が5分以上であるときは、次に短いもの)が
5分を超えるとき、合格とする。この場合において、試験を行う時間は15分を超
えないものとする。
② 耐インプレッション性能試験(侵入手口:インプレッション)
3個のシリンダー(それぞれ鍵違いとする。)について、3名の特殊技能試験員
が、1個について3回ずつ合計9回、試験委員会が指定する適当な道具を用いてイ
ンプレッションを行い、5分未満で解錠したものが一つもないとき合格とする。た
だし、各試行ごとに新しいブランキーなどを用いること。
③ バイパス解錠試験(侵入手口:カム送り解錠、ロッキングバー回し)
1個の試験体について、3名の特殊技能試験員が、試験委員会が指定する適当な
道具を用いて錠ケース内部の操作を試み、5分未満で解錠できたものが一つもない
とき、合格とする。
④ 耐読み取り性能試験(侵入手口:合鍵使用)
3個のシリンダー(それぞれ鍵違いとする。)について、3名の特殊技能試験員
が、1個について3回ずつ合計9回、タンブラーの読み取りを行い、5分未満で合
鍵の情報を指摘できたものが一つもないとき合格とする。
⑤ サムターン解錠試験(侵入手口:サムターン回し)
試験台に取り付けた1個の試験体について、3名の特殊技能試験員が、試験委員
会が指定する適当な道具を用いてサムターンの操作を試み、5分未満でサムターン
を回転させて解錠できたものが一つもないとき、合格とする。この場合において、
試験台には電動工具を用いてφ10の穴2個以内を任意の位置に開けることができる
ものとし、穴を開けるための時間は試験時間に含まないものとする。
6.2 第2系列の試験方法
この試験は、第1系列の試験に合格した試験体に対し一般試験員が行う試験である。
試験の際に発生する音量については、攻撃の際に90dB以上の音量が発生しないよう配
慮する。
なお、以下の試験を行う前に、6.1の規定に基づき試験体の配付を受けた特殊技能試
験員が試験審査委員会を開催し、いずれの特殊技能試験員も、当該試験体が、この細則
に基づく試験に合格している他の錠、シリンダー又はサムターンと同一の構造であり、
かつ防犯性能に影響がないと判断した場合にあっては、試験指導員の意見を聴きながら、
試験を全て実施せずに合格とすることができる。
① ドリリング試験(侵入手口:鍵穴壊し)
試験台に取り付けた1個の試験体について、3名の試験員が、試験委員会が指定
する携帯型電動工具にホールソー等を取り付けてシリンダー等を攻撃して開錠す
るまでの時間を計測し、最も短いものが5分を超えるとき、合格とする。この場合
において、試験を行う時間は15分を超えないものとする。ただし、シリンダーを
攻撃するホールソーのシリンダー用軸は、申請者が用意すること。
② シリンダーのもぎ取り(侵入手口:シリンダー打ち抜き、シリンダー引き抜き)
3名の試験員が、錠を試験台に取り付けた状態で、それぞれ試験体1体について、
試験委員会の指定する工具を用いてシリンダーのもぎ取りを行い、いずれも5分未
満で解錠できなければ合格とする。
③ シリンダープラグの引き抜き(侵入手口:鍵穴壊し、シリンダーの引き抜き)
3名の試験員が、錠を試験台に取り付けた状態で、それぞれ試験体1体について、
試験委員会の指定する工具を用いてシリンダー又はシリンダープラグを引き抜き、
マイナスドライバーを用いて解錠を試み、いずれも5分未満で解錠できなければ合
格とする。
④ シリンダープラグの捩り(侵入手口:鍵穴壊し)
試験体3体について、申請者は以下の手順の試験を実施し、いずれも解錠しない
ことを試験報告書で提出した場合に、合格とする。
(a) 錠セットを通常の取付方法に従って試験台に取り付ける。
(b) 鍵穴に材質SK材相当(焼き入れ焼き戻し処理、HRC60以上)のブランキ
ーを挿入し、プラグに徐々にトルクを加え解錠するか否かを調べる。
(c) プラグが回転する前にブランキーが破断した場合は、解錠しないと判断するこ
と。
⑤ デッドボルトの切断(侵入手口:デッドボルト・鎌の切断)
試験体3体について、申請者は以下の手順の試験を実施し、5分未満でデッドボ
ルト又は鎌の切断面積が元の断面積の1/2以下であることを試験報告書で提出
した場合に、合格とする。
(a) 金鋸に22Nの荷重をかけ、デッドボルトの切断試験を行う。
(b) 錠フロントと平行かつフロントから1.6mm以内にのこぎりと荷重を加えなけれ
ばならない。
(c) 動かす速さは、0.51m/s±0.05m/sとする。
⑥ 携帯型ガスバーナー試験
この試験は、試験体のシリンダーの主要部品が、亜鉛合金などの低融点金属又は
樹脂製の場合に限り実施する。
3名の試験員が、錠を試験台に取り付けた状態で、それぞれ試験体1体について、
携帯型ガスバーナーで試験体の任意の部位を加熱溶解すること又は加熱後取り除
くことによって解錠を試み、いずれも5分未満で解錠できなければ合格とする。
引用:錠、電気錠、シリンダー及びサムターンの防犯性能の試験に関する細則(平成16年基準)http://www.cp-bohan.jp/shiken/03b.pdf
指定建物錠に防犯性能の表示
また、平成15年のピッキング防止法(開錠用具の所持制限、玄関錠の性能表示の義務を規定)の施工により指定建物錠に防犯性能の表示が義務付けられました。
- 耐ピッキング性能 5分未満/5分以上/10分以上
- 耐かぎ穴壊し性能 5分未満/5分以上/10分以上
- 耐サムターン回し性能 なし=5分未満/あり=5分以上(サムターンのみ)
- 耐カム送り解錠性能 なし=5分未満/あり=5分以上
- 耐こじ破り性能 なし=5分未満/あり=5分以上
- 出荷するかぎの本数
侵入手段として一番多いのは
防犯性の高い製品を取り付けても施錠されていなければ、入ってくださいと言っているようなものです。
少しの外出だから、2階だから、格子がついているからと油断することなく、外出時は忘れずに施錠しましょう。
また、割合は少ないですが、合鍵を使っての施錠開けもあります。セキュリティレベルが低い鍵の場合、ホームセンターなどで簡単に合鍵作成できます。
また、ホームセンターで複製できないディンプルキーでも、鍵番号を第三者に知られれば、鍵番号でメーカーへ鍵の注文ができます。
鍵の保管には、十分気をつけましょう。
【参考】京都府での全国防犯協会連合会活動
京都府では、連携活動として各警察署で平安レディースが結成され安全に貢献しています。
連携活動:平安レディース:女性による自主的な地域安全活動 (上京平安レディース 右京平安レディース 他)